11月某日、アイルランド大使館で開催されていたアイルランド・日本交流美術展「怪談ーラフカディオ・ハーンとの邂逅(Kwaidan Exhibition) 」展と、国立新美術館の「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧(BVLGARI KALEIDOS: COLORS, CULTURES AND CRAFTS)」展を一日で巡ってきました。
新宿駅からスタートして すべて徒歩移動。
距離はしっかりありましたが、紅葉が美しい季節でもあり体験としてはかなり満足度の高い“東京アート散歩”になりました。
ここでは、当日のルートや展示の感想をまとめて紹介していきます。

アイルランド大使館「怪談ーラフカディオ・ハーンとの邂逅(Kwaidan Exhibition) 」展

新宿駅から徒歩40分。紅葉の中のアート散歩
アイルランド大使館へは、新宿駅から電車で行くと20分強。
それなら歩けるのでは?と思い、今回は徒歩で向かいました。
結果、約40分の道のりは想像以上に快適でした。
途中の街路樹がしっかり色づいていて、赤や黄色が混ざった並木道がとても美しかったです。
景観が変わるので、歩いていてもあまり時間を感じず、季節を楽しみながらの散歩になりました。
入館はセキュリティ厳しめ。写真付きIDが必須
大使館に着いてまず驚いたのは、建物が新しく、とにかくスタイリッシュなこと。
2025年4月に移転されたばかりだそうです。
セキュリティもかなりしっかりしており、この展覧会は 1時間につき20名の完全予約制。
入口では予約時に発行されたQRコードを提示し、さらに 写真付きIDの提示が必須でした。
私はマイナンバーカードで入場しました。
リストに基づいてひとりずつ丁寧に確認され、普段の美術展とは違う“公式な空気”が漂っていました。

地下ホールで行われた版画展。40作品が一堂に
展示は大使館地下1階のイベントホールで行われていました。
構成は以下のとおり:
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日本人作家:20名
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アイルランド人作家:20名
計40点の版画作品
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が編纂した怪談からインスピレーションを得た作品が並び、サイズは 大きくてもB3ほど。
小さいながらこだわりを感じる作品群でした。
物語の概要とともに展示されていたため、同じ題材でも作家によって構図や筆致がまったく違うことがわかります。
小規模展とは思えないほど見応えがありました。

お気に入りは“ろくろ首”の版画
中でも心を掴まれたのは、アイルランド人クリエイターによる“ろくろ首”の作品。
絡み合う髪と5つの顔が不気味さとおかしみがあり、怪談なのにどことなくユーモラスな“物語の気配”を強く感じる一枚でした。

豪華なカタログが無料配布される驚き
「どうぞご自由にお持ちください」と用意されたのが、しっかり厚みのある豪華なカタログ。
普通の展覧会なら2,000~3,000円で販売されていそうなクオリティで、
まさか無料とは思えないレベルでした。

中庭と図書室も開放。静かな癒やしの空間
展示鑑賞後は中庭へ。
静けさと水琴窟の音が心地よく、しばらく座っていたくなる場所でした。

1階には小泉八雲とアイルランド文化に関する書籍が並ぶ図書室もあり、
ここで読書にふけれたら幸せだろうなぁと夢想してしまいました。

また案内役をされていた若いアイルランド人男性も柔らかな雰囲気の方でとても好印象でした。
東京芸大で学んでいるそうです。
大使館での展示というだけで特別感がありますが、空間の居心地の良さも予想以上でした。
会期:2025年11月4日(火)~20日(木)
会場:アイルランドハウス東京B1イベントホール(東京都新宿区四谷本塩町1-6、駐車場なし)
乃木将軍邸に立ち寄り。静かな庭園と“殉死の間”

アイルランド大使館から国立新美術館へ向かう途中、少し時間があったので 乃木将軍邸に寄りました。
この邸宅は現在、庭園として整備されています。
乃木邸には入れませんが、建物の周囲をぐるりと回廊が囲んでいます。
外からのみの見学でも、窓越しに内部の様子を少し覗けるようになっているのです。

衝撃的だったのは、夫妻が殉死した部屋がそのまま残されている点。
室内には紙垂がぐるりと吊るされ、畳には夫妻が倒れた場所を示す木板が。

和やかな庭の雰囲気とのギャップが大きく、そこでの出来事の重みを強く感じ、しばし動けませんでした。

自刀した時の血がついたものが埋められている
場所 東京都港区赤坂8-11-32 乃木公園
営業時間 9:00~16:00
気を取り直して昼食。乃木坂「まる彦らーめん」へ
近くの「乃木坂まる彦らーめん」で昼食をいただきました。
おすすめのウニつけ麺を注文。濃厚なウニ風味のスープに麺を絡め、最後はご飯で〆るのが最高でした。
途中でレモンを絞ると風味が変わり、味の変化も楽しめました。


乃木坂46の写真が壁中に飾られていました。
どうやらファンの間で聖地になってるようです。
国立新美術館「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」展

乃木邸から国立新美術館までは、徒歩10分ほど。
ゆっくり向かってもちょうどいい距離です。
宝石の存在感が圧巻。色彩の美を堪能
ブルガリ展は、予想以上に豪華で華やかでした。
展示は 三原色・寒暖色・中間色 など色彩を軸に構成されていたのですが、わたし的に印象的だったのは、宝石の規格外の大きさ。
存在感が強く、思わず二度見するほどでした。

まさに「ごろん」って感じの宝石でした

ごろん

ごろん

ごろん
(↑エリザベス・テイラーが身につけていたネックレスだそうです。そういえば写真で見たことある!)
ひとつの作品のために色味を揃えた宝石を集めたり、ジュエリーの裏側の宝石を留める細工に意匠を凝らしたり、“ジュエリー=工芸品”としての奥深さを感じる展示でした。
所要時間はおよそ2時間。
じっくり楽しめる内容でした。
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- 展覧会名 ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧
- 会期 ~
- 会場 国立新美術館 企画展示室2E
まとめ|徒歩でつなぐ東京アート巡りは満足度が高い
- 新宿 駅→ アイルランド大使館40分
- アイルランド大使館→乃木将軍邸30分
- 乃木将軍邸→国立新美術館10分
この3か所を徒歩で巡るのは、距離のわりに負担が少なく、思いがけず快適でした。
電車を使うと路線の乗り換えなどがあり複雑に感じますが、道路だとシンプルな経路で進めます。
また、東京の中心部は平地が多いため歩きやすいです。

秋の紅葉も重なり、“美術展×街歩き”の相性の良さをあらためて実感した一日でした
ぜひ、タイミングが合えばあなたも歩いて巡るアート散歩を楽しんでみてください!

舞い散る落ち葉が美しかったなぁ……


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