12月頭に鬼太郎を見て以来、映画についてぼんやり考えてしまったり、ネットなどで知らなかった情報が流れてきて驚いたりということが重なってきたので、映画後に気づいたことをまとめていきます。
後に確定だとわかったものは黄色のアンダーラインをひいています。
随時追加予定
「水木のモデル」リンク切れ修正しました(5/21)
「映画水木は、原作者水木ではないが、水木しげる本人の戦争経験が投影されている」に加筆しました(05/21)
「映画水木その後」に加筆しました(05/21)
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龍賀一族
村名「哭倉」の由来
龍賀一族が村を支配しているのに、なぜ「龍賀村」ではなく「哭倉村」と呼ばれるのか。
原作コミックによると、かつてこの世界は人間ではなく幽霊族が支配していた。
だが、人間の出現により幽霊族は追いやられ、穴倉での生活を余儀なくされた。
この「穴倉」は幽霊族を指す言葉として使われるようになり、やがて「哭倉」という名前に変わっていった。
穴倉→アナグラ→ナグラ→哭倉
劇中で、村民が「祟りじゃ、なぐら様の」と呟く場面があり、その言葉を聞いた乙米がにらむ。
これは「なぐら」という言葉が、幽霊族を指していることを示唆している。
村民たちが幽霊族を「様」と敬称で呼んでいることから、元々幽霊族は村において信仰の対象だった可能性が高い。
乙米の反応からは、龍賀一族が幽霊族の信仰を認めていないことが伺える。
これにより、村民たちはかつて幽霊族を崇拝していたものの、龍賀一族の支配と幽霊族への迫害が始まってからは信仰を捨てざるを得なくなった。
それでも、村の名前「哭倉村」には昔の信仰の名残が残っているのだと思われる。
時貞チルドレンの生まれた順番
時麿が第一子なのは間違いない。
孝三は字からいっておそらく第三子。
娘たちの名前に入っている「乙」「丙」「庚」という字は古代中国十干が由来。
十干の並びは「甲乙丙丁戊己庚辛壬」である。
なので乙米は第二子であろう。
丙江は並び的に3番目ではるが、乙の次に産まれた女子ということで「丙」とつけられたのではないか。
「庚」は7番目に来るのでもしかしたら丙江と庚子の間に、映画では登場していない子どもがまだいたのでは。
ちなみに私は沙代と時弥も時貞の子どもだと思っている。
(時弥の虚弱体質は近親交配故か)
なので順番は
時麿→乙米→孝三→丙江→(映画に出ていない3人)→庚子→沙代→時弥
時麿と時貞
あの時代の日本では長男の結婚を急がせて跡継ぎを望むのが通常。
しかし時麿は未婚のままだった。
おそらく時貞は、時麿が結婚することで一族以外の血が混じるのが嫌だったのではないか。
いや、むしろ自分以外の血を受け継ぐことは認めてなかったので、時麿ではなく自分が娘たちと交わって、子を産ませたのだと思う。
時貞の近親相姦は好色だけが理由ではないと感じる。
また、時貞は時麿にも憑依するつもりだったと思われる。
自分が彼の肉体に入っても周囲に違和感を抱かせないため、なるべく外部と接触させないようにしていた。
時貞は身体が老いて限界を迎えた時、自ら手放した。(時貞死去のシーンは毒死のように見える)
そして時麿に憑依したが、襲った沙代に返り討ちにあって肉体が死んだので、想定より早く時弥に憑依したと考えられる。
年齢不詳の白塗り。
父である時貞の死に対する泣き叫び。
時麿は時貞にかわいがられ、大切にされていたと思っているが
実際は彼もまた性的に虐待されていたのではないかと想像する。
初期設定では化粧はなしだった。
制作の最終段階で監督からお歯黒と白粉のオーダーがあった。(トークショーより)
長男のプレッシャーにつぶれて、一度も外に出たことがない人。
「ととさまととさま」といって流されてしまった。(トークショーより)
乙米と長田
- 乙米と長田は主従の関係だけではなく、想いあっている。
- 公式ページのキャラクター紹介に使われている二人の画像を重ねると手を繋いでいる。
映画を見た時、最初は主従関係かと思ったんですが
最期のシーンで二人の愛情は本物だ!と感じたんですよね。
とはいえ、公式の画像にはびっくりしました。
- 長田と乙米の関係は14日の舞台挨拶で確定しました。
「長田少年と乙米」発言から推測するに、結婚前からですね。
恋心を抱いていたお姉さんが父親に犯され、他の男を娶らされ、
自分はお姉さんの妹と結婚、しかし妻も父親と……って長田の心中いかばかりかと
水木
水木のモデル
水木が似ている銀幕スター「佐田啓二」さんとはこの方です。
中井貴惠さん、中井貴一さんのお父さんですね。
私の意見としては
佐田啓二さんは墓場水木には似ていると思うのですが、
映画水木は丸顔&童顔なので
NHK版「ゲゲゲの女房」の水木(向井理さん)のイメージも混じってます
(あくまで私個人の感想です)
@user4524729386098
どちらにしろイケメン
映画水木は、原作者水木ではないが、水木しげる本人の戦争経験が投影されている
ニューブリテン島に送られた原作者水木しげる先生は「歩兵第229連隊」に配属されます。
そこからさらに9名の戦友たちとともに「混成第三連隊」に転属となり、ズンゲン守備隊としてバイエンに向かうよう命じられました。
その地は連合国軍との直接対決の最前線であり、死と同義でした。
原作者水木しげる先生はマラリアにかかり寝ていたところに爆撃に遭って左腕を損傷し、部隊から離脱します。
残った戦友たちは連合国軍と闘い、「全員玉砕」と報告されました。
しかし実際には部隊の半数近くが生き延びました。
これは軍上層部にとってゆるされない事実でした。
司令部は彼らを「生きていてはならない者」とみなし、将校には自決を、兵士たちには再度の玉砕を命じたのでした。
原作者水木しげる先生が「混成第三連隊」の悲劇を知ったのは戦後になってからでした。
ドラマにもなっています。
↓の水木は香川照之さんです
映画水木は原作者水木しげる先生の戦友たちがたどった悲劇を反映していると考えられます
また映画水木は闘いで体の左半分に大きな怪我をしていることから、原作者水木しげる先生と同様に、彼の命が助かったのは、この怪我のおかげだったとも言えるかもしれません
映画水木と墓場水木
- 墓場水木は鬼太郎を育てるも心許してもらえず、裏切られてさんざんな目にあうが、映画と同軸のアニメ第六期「鬼太郎」では水木との関係が人間を救う原動力になっており、確かな絆があった。
- 映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のエンドクレジットのサイドには「墓場鬼太郎」と似たシーンがあるが、つながっていない。
時貞死去を知った時、水木が社長室に行くために席を立つか立たないかで世界線が分岐している。
つまり、そのまま仕事を続けていれば「墓場鬼太郎」。
社長室に行くと「6期鬼太郎」(映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」)となる。(12月14日の舞台挨拶より)
どちらにしろ鬼太郎を育てることになるのですねー
水木が哭倉村に行かなかった世界線↓
原作コミック第一話「鬼太郎の誕生」についてあらすじと感想、映画水木との違いを書きました。
興味のある方はどうぞ!(20240103追記)
映画水木のその後
アニメ「令和悪魔くん」では老人となった水木が登場する。(水木老人)
「令和悪魔くん」に登場する水木老人は調布で「アミーゴパンケーキ」という店のオーナーをしています。
水木老人の面差し、顔と耳の傷、髪の分け目などが映画水木とほぼ一致しますが
「令和悪魔くん」と「ゲゲゲの謎」は制作会社が異なり、実際は同じ水木ではないとのことです。
そもそも「ゲゲゲの謎」側は「令和悪魔くん」の水木老人を知らなったとのこと。
「令和悪魔くん」側がオマージュで映画水木にイメージを寄せたのが実際のようです。
とはいえ、「もしも」のアナザーストーリーが展開できそうで夢が広がりますね。
あの出世欲にかられてギラギラした青年がどういう経緯を経てカフェのオーナーになったのか、とてもとてもとても気になる
映画水木の外見のイメージから哭倉村事件が起きた1956年はおそらく30代前半。
「令和」だと100歳近いはず。
(ちなみに原作者水木しげるの生まれた年は1922年です)
しかし水木老人はそこまで老齢に見えません。
哭倉村で出会った怪異や鬼太郎たちとの生活でなんらかの影響があったとしたら……??
幽霊族に関わった結果、映画水木が通常の人間とは異なる速度で老いることになったとしても不思議ではありません。
人間としての自然な寿命を超え、長い時間を生き続けることが可能になったかもしれないと想像してしまうのです。
映画ラストで水木に牙がはえる
土中から這い出た鬼太郎を見て「墓穴から赤ん坊が生まれた」と言うシーンで、水木の歯が小さな牙に変化したように見えます。
この場面の描写は、水木が他の場面で喰いしばりをする時とは異なっていて、歯がにょきっと伸びて尖っています。
この描写が犬歯の範囲内か、牙なのかは明確ではありません。
視聴者の想像に委ねられる部分かもしれません。
映画水木その後について考察
あくまでも個人的見解なのですが
血桜のシーンで横たわっている水木は死んでいたと思います。
彼が倒れた他の場面とは明らかに表現が違い、目が見開かれたままの姿は、事切れた遺体のように見えました。
しかし彼が再び立ち上がり、反撃することができたのは幽霊族の血を浴びたためだと推測します。
つまり、人間としての水木はその場で命を落とし、新たな、人外の存在としての水木が誕生したのではないでしょうか。
水木と沙代
公式ページのキャラクター紹介に使われている二人の画像を重ねると手を繋いでいる。
沙代の手は握られているが、水木は手を差し伸べているのみ。
恋慕の情を抱いているのは沙代だけで、水木自身にその気はないということだと思われる。
水木は彼女の恋を真に受けてないよね
水木は立場が有利になるなら、彼女の好意も利用してやろうという気持ちだった。
鼻緒のシーンはあざとかった……悪い男や
しかし、沙代が性的虐待を受けている事実を知り、水木の中で同情が芽生え、村から連れ出そうとしたと推測する。
映画水木の初期設定はオールバックだった
オールバックだと顔の傷が全部見えるので、少し前髪をたらして隠れるようにした。(12月14日の舞台挨拶より)
tocoさんはキャラクターデザインを担当された谷田部透湖さんです。
ツイッター(X)やnoteで興味深いこぼれ話を知ることができます。
ツイッター(X)ではゲゲ郎や水木のイラストが見られて眼福。
お仕事中で疲れた谷田部さんが水木で表現されていて、疲労困憊のサラリーマンがかわいいです
「ツケは払わなきゃなあ!」の水木が大好きなんですけど、あの場面は声優さんの音声を聴きながら作画したとnoteに書いてあって、だから声の調子と水木の表情や動きがどんぴしゃだったのかと納得しました。
その他もろもろ
時間ができたら記事化したいメモ書きみたなもの
映画水木の体格
映画水木の体格は「昭和の男」を意識して設定されたそうです。
確かに水木のずんぐりした体躯と短い手足、むちっとした指など、ノスタルジーを感じますね。
スラリとした長身のゲゲ郎の隣に並ぶと体格の差が協調されて、なんだかかわいらしいです。
コンビ感があります!
水木とゲゲ郎の声
水木は木内秀信さん、ゲゲ郎は関俊彦さんが演じています。しかし二人ともオーディションでは水木とゲゲ郎、どちらの声も演じたそうです。
ということはどこかに木内さんのゲゲ郎と関さんの水木も存在するのですね。
聴いてみたい……
関さんの水木が土井先生で脳内再生される
↓なんと在庫切れ;;;
コメント
時麿兄は乗っ取られて無いのでは・・遺産相続の時も去り際に沙代を見るシーンあるし。時麿兄も沙代を狙っていたのでは。
でも丙さんが「時麿兄!」って叫ぶから兄弟感の仲は良好だったんだろうなあ。
コメントありがとうございます!
時麿については、遺産相続騒動後の動向が特に謎ですよね。
彼の沙代への視線には、確かに何か感情があったように思えます。
>でも丙さんが「時麿兄!」って叫ぶから兄弟感の仲は良好だったんだろうなあ。
そうなんですよね。
龍賀家の子どもたちは酷薄そうに見えますが、兄弟が亡くなると深く嘆いている姿が印象的です。
彼らなりに絆があり、特殊な環境の中、兄弟が寄り添い生きてきた歴史が垣間見えるような気がします。