映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を見ることを世の中では「入村する」と言うらしいですね。
入村以来、帰ってこれない私が、「ガロ」版原作第一話「鬼太郎の誕生」を読み返し、あらすじや感想、原作と映画の違いを書いてみました。
「鬼太郎の誕生」基本データ
私が持っているのは昭和63年に中央公論社から発行されました
「愛蔵版 ゲゲゲの鬼太郎 第一巻」
です。
巻末の記載によると初出は
「ゲゲゲの鬼太郎」第一話「鬼太郎の誕生」
昭和41年3月「ガロ」掲載
となっています。
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ちなみに
第二話「手」は昭和40年8月「週刊少年マガジン」掲載
第三話「地獄流し」は昭和40年10月「週刊少年マガジン」掲載
です
あらすじ&逐一感想
水木は東京の血液銀行に勤めるサラリーマンである。
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記念すべき水木のセリフ第一声は
「また出社時間におくれちゃった」
社長に呼び出された感想は
「またしかられるのかな…」
熱心さ、ナッシング。
モーレツ社員だった映画水木と違い、出世欲はまったくなさそう
ある日、彼は社長から、血液中に混入した幽霊の血に関する調査を命じられる。
輸血を受けた患者が幽霊化してしまったというのだ。
患者は心臓がとまり、体温が死人と同じで、なにも食べずに生きている。
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穏やかな表情で水木にお茶なんか出したりしていい人(人?)です
供血者を調べると、なんと水木と同じ住所であることが判明する。
母から教えられた古寺を訪れると、人魂が水木を案内し、中に誘った。
そこには女幽霊が待ち構えていた。
女幽霊は水木をもてなそうとするが、気味悪さに水木は逃げようとする。
そこに男幽霊が現れ、水木を確保する。
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水木がナチュラルにお姫様抱っこされて連れ戻されてます
彼らは夫婦であると語り、水木に幽霊族について説明を始めた。
幽霊族は人類より古くから存在していた。
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映画にも出たブリューゲルの「バベルの塔」に住まう幽霊族の描写があります。
原作者水木先生は他にも
キリコやダリなどの絵画を漫画に取り入れてらっしゃいます
しかし後に現れた人類によって幽霊族は追いやられ、穴倉で暮らすようになった。
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安全を求めて穴倉に住むようになった幽霊族。
穴倉→アナグラ→ナグラ→哭倉
おそらく「哭倉村」の由来でしょうね
幽霊族はだんだんと数が減り、今ではこの夫婦だけになった。
女幽霊は妊娠3ヶ月であるが、二人とも重い病に苦しみながら、売血をしていた。
水木は彼らの子どもが生まれるまで沈黙することを約束する。
しかし8ヶ月後、古寺で夫婦の亡骸を発見する。
男幽霊の体はドロドロになってしまっていたので、女幽霊だけ墓場に埋める。
3日後、墓場から赤ん坊の泣き声が聞こえた。
墓場に水木が現れる。
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なぜ水木が墓場に居合わせたのか、理由が描かれていません。
たまたまなのでしょうか。それとも呼ばれたのでしょうか。
いずれにしろ水木と幽霊族の縁を感じます
女幽霊を埋めた場所から雷鳴と共に赤ん坊がはい出てくる。
すでに髪の毛が生えており、左目のない赤ん坊は泣きながら水木の脚に縋りつく。
化け物の子だと水木は思い、一度は首に手をかけたが殺せず、赤ん坊を放置して家に逃げ帰る。
同じころ、男幽霊の亡骸から左の眼球がこぼれ落ちる。
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なんとなく目玉から体が生えたのかと思ってましたが、
記憶とは違い眼球についた筋肉(外眼筋)が身体に変化しててびっくりしました
目玉だけになった男幽霊は墓場へ行き、放置された赤ん坊を発見する。
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ここで目玉親父が「鬼太郎!」と呼びかけています。
鬼太郎の名前は目玉親父が決めていたのですね
目玉親父は赤ん坊を水木の部屋へ連れていく
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赤ん坊の首にひもをつけて、目玉親父がひっぱっています。
犬の散歩みたいです
寝ていた水木は赤ん坊に気が付き目を覚ます。
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あんな目にあっときながら、水木、しっかり布団敷いて寝てます。
根性の座り具合は映画水木と通じるところ
赤ん坊は水木に近寄り、彼の手をなめた。
その姿に憐れみを抱いた水木は育てることを決意する。
こっそりとその場面を見ていた目玉親父は安心して涙を流した。
子どもは水木と彼の母親のもとで育ち、ひそかに目玉親父の守護の下で成長した。
6年が経ち、子どもは周囲から不気味がられ、「墓場の鬼太郎」と呼ばれていた。
夜になると、目玉親父の呼び声に導かれ、鬼太郎は墓場へ足を運ぶ。
「死人の世界」で遊んでいるという鬼太郎を水木と彼の母は叱責し、やめなければ家を出るように迫る。
一方で、目玉親父は外に話のわかる友人がいると鬼太郎を誘う。
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話のわかる友人=おけら、死人、おばけ
これにより、鬼太郎はあてのない放浪の旅に出た。
映画水木とガロ版原作水木の違い
水木の性格
映画水木はいわゆる「モーレツ社員」です。
ガロ版原作水木は遅刻がちで社長から叱られることが多い、ノンビリ社員のようです。
水木の外見
ガロ版原作水木は普段、佐田啓二ばりのイケメンですが、驚くとアメコミ調の濃い表情になります。
しかし後半、鬼太郎が墓場に通っていることに気が付いてからは映画水木に似た童顔になります。
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若返ってる??
かわいいです
水木と鬼太郎の出会い
- 映画では、寝ている水木の元に人魂が現れ、古寺へ導かれます。
- ガロ版原作では、供血者の住所を追って古寺へ行きます。
- 映画では岩子を葬ってすぐに鬼太郎が土中から姿を現します。
映画水木は赤ん坊を墓石に叩きつけて殺そうとしますが、血桜とゲゲ郎の記憶が脳裏をよぎり、鬼太郎を育てることを決意します。 - ガロ版原作では女幽霊を埋めてから3日後に墓場へ水木が行き、這い出てくる鬼太郎に遭遇します。
ガロ版水木は赤ん坊の首を絞めて殺そうとしますが躊躇し、一人で自宅に逃げ帰ります。
その後、水木の家に鬼太郎(と目玉親父)が押しかけて、水木は養育を決意します。
水木の経歴
映画水木は第二次世界大戦で徴兵され、南方戦線に送られ、玉砕を命じられた経験があります。
そのため彼の顔と体には戦争の傷跡があります。
ガロ版水木の過去は不明です。戦争による傷跡などは見られません。
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時代背景を考えると、彼も兵役についていた可能性はあると思います
所感
映画のエンディングと原作の第一話がつながっていると感じ、興奮しましたが、ガロ版原作を読み返してみたら、予想外の違いが多くあることに気づきました。
今回はその中から特に印象的な点を取り上げてみましたが、これからも新しい発見があれば、このブログを更新していく予定です。
皆さまが映画と原作の間で見つけた違いや共通点があればぜひお聞かせください。
![はいほ](https://enomoto-illustration.com/wp-content/uploads/2022/05/eno_happy.jpg)
どこまでも深堀できそう、ゲゲゲワールド
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