— ゲノコ (@guenopon) April 10, 2024
あらすじ
アメリカの物理学者オッペンハイマーは、第二次世界大戦を終結させるため、国の極秘プロジェクト「マンハッタン計画」に参加する。
この計画の目的は、世界に先駆けて原子爆弾を開発することにあった。
オッペンハイマーはプロジェクトのリーダーとなり、ニューメキシコ州ロスアラモスに研究村を建設し、全国から選りすぐりの科学者たちを家族とともに移住させる。
実験を経て完成した原子爆弾は、科学者たちから切り離され、直ちに日本に投下される。
原爆の成功はオッペンハイマーに対し大きな賞賛をもたらすが、彼自身は深い葛藤に苛まれる。
やがて、オッペンハイマーは赤狩りの標的へと変わり、追い詰められる運命に直面する。
感想
まちがいなく佳品です。
始まった瞬間、傑作だとわかる映画です。
しかし、原爆投下に至る過程は、日本人である私には非常につらいものでした。
ですが、この映画は戦争映画や原爆映画ではありません。
あくまでもオッペンハイマー個人の、または神の領域に踏み込んだ人間の物語として描かれています。
開発に携わった科学者の反省や良心の呵責を追求するのではなく、人間のどうしようもなさに焦点を当てています。
冒頭にプロメテウスの逸話が出てきます。
人間が火を得て新たな世界に踏み入れたように
科学者たちは核兵器を開発し、世界を変えてしまいました。
その力が人類を滅ぼす可能性があることを知りながらも、
技術革新を止められない人間の「さが」があります。
核兵器の開発は時代の必然であり
歯車が違えは別の科学者が「原爆の父」になっていたでしょう。
映画は3つの時間軸で進みます。
一つはオッペンハイマーの学生時代から終戦まで。
もう一つはオッペンハイマーが赤狩りの標的になった諮問会。
最後にストローズ視点のオッペンハイマーとの交流と公聴会。
私はどうしても原爆に反応し、動揺してしまうので
原爆投下後の会話劇の方が集中でき、
深く引き込まれました
ロバート・ダウニー・Jr.のキャスティングがとても良かったです。
最初はなぜここに?と思ったのですが、反転してからのキャラ立ちは
「だからこの配役なのか」と納得でした。
ちなみに原爆被害の悲惨さはセリフの中だけで表現され、
直接的な映像は使われていません。
日本では広島、長崎での惨状を教育されているので、
言葉だけでもビジョンが脳内補完された方が多かったのではないでしょうか。
というか私がそうでした。
なので原爆投下までが本当にきつく、涙が出ました。
おそらく見る側の国や地域によってこの辺りの感想は
大きく違うのでしょうね
映画では科学者たちが原爆被害の模様をスクリーンで見ている描写があります。
画面には現れていませんでしたが、実際に当時の写真が目の前に映し出され、
役者さんたちはそれを見ていたのだそうです。
あの時の反応はリアルだったのですね
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