今回の日本語タイトルは「憑依の代償」。
憑依といえば天使や悪魔が人間を器にして依り憑くことを言いますが、ここでは一体どういうことなんでしょう…?
逐一感想:ウィンチェスター家の巻
ウィンチェスター兄弟は母が見つけた「事件」を探りに出かける。それは、古い空家から赤ん坊の泣き声がすると通報したカップルが、その家屋の密室内で凍死したという事件だった。
ちなみに母はそれをディーンに買いに行かせた新聞で見つけました。
母は33年間の空白に戸惑いと不安を覚えているようで(そりゃそうだ)、気を紛らわせるために狩りに専念することにしたらしい。母の心情を察したサムと、母と弟と一緒だということに浮かれているディーンと。
サムは母の複雑な気持ちを思いやる細やかさがあるんだよね。ディーンはそこが大雑把で、愛し合う者が共にいれば解決するはずと思っているというか、単純に事を面倒にせず、ただ喜びにだけひたっていたいという一貫した思いがあって、でももちろん世の中、そんなわけないのであって、ここらへんがすれ違ってすれ違って、やがて取り戻せない距離になる~ってのが人生のような気がしますよ…
気がしますよ…(なにかを思い出し中)
さて、母メアリーは、長い髪を「ハンティングの邪魔」とばっさり切り、兄弟たちが食べている朝食のベーコンをつまみとったり、ディーンが買い込んできたスナック菓子を喜んで食べたり、車中ではツェッペリンをボリュームあげて聴いたりと、どうもディーンの行動のあれやこれやは母ゆえんなのではないかと思うことが諸所あったり。サムの苦い顔w
肝心の狩りですが、件の空家では子どもが相次いで亡くなっていることが分かりました。調査をする3人ですが、そこはやはりジェネレーションギャップがありまして。
つまり、「インターネットで調べる兄弟VS聞き込みなど地道な捜査をする母」でして…。
兄弟はネットで調べた結果、スカンジナビア由来の子どもの精霊ではないかと結論。
違和感がある母をモーテルに置いて、子どもたちの骨を燃やしに墓地へ行きます。
その隙に、兄弟から預かったスマホ……は置いて、モーテルの固定電話で不動産屋に連絡する母。
うん、わかんないよね、その長方形の金属の板。
そして死んだ子どもの母親から事情を聞く。
死んだ子どもの母親(おそらく40代後半)「電話っていいわね。今はなんでもメールだから」
ちょっと前までは
「顔を見て話すのっていいですね。今はなんでも電話で済ますから」
って言われてたような気がするぞ……
兄弟の結論に納得がいかなかったメアリーは一人で空家へ行き、子どもの霊に会う。その子は電話で聞いた特徴に一致していた。
悲しげな子どもの霊に導かれ、地下室へ行くメアリーはそこで、男性の霊に遭遇する。
男性に憑依されたメアリーは、母を捜しにきた兄弟を襲う。
兄弟の「母さん!」という必死の叫びで、一瞬メアリーに戻り、「地下室に早く!」とサムを急がせる。
壁の中の白骨化した遺体を見つけ、燃やすサム。するとメアリーから男性の霊が抜けた。死んだ子どもたちが現れ、男性の霊を取り囲む。悪霊は咆哮しながら消滅した。その後、子どもたちの霊はまぶしい白い光になってのぼっていったのだった………日本風にいうと、成仏だね。
真相は
男性は、この家で最初に子どもを亡くした父親。
子どもを失ったことに絶望し、地下室に閉じこもって壁の中で飢え死にした。子どものいる家族が引っ越してくるたびに羨ましくて子どもを殺してはそばに置いて自分のものにした。
欧米ものにしては珍しくジメジメしたものを感じるストーリー。っていうか、なんかすごく日本の怪談っぽい……
そんなこんなで兄弟vs母の捜査は母に軍配が上がったわけですが、メアリーはバンカーにとどまることを拒否する。自分の居場所はここじゃないと。
「息子たちに会いたい。私の知ってる息子たちは赤ちゃんのサム、ちっちゃかったディーン。天国にいたときは家族で暮らしていたのに、戻ってみたら、ジョンがいない。家族が消えてた。お前たちといるといつもつらくなる。あの2人に会えないんだって」
ご存知の通り、スパナチュ界の天国は個人個人の理想郷であって、人も物もすべて現実のように見せているが、実際は天国内にあるたくさんの個室に一人ずつ入って夢を見ているような状態。確かに幸せだけど、本物じゃない。幸せな偽の世界……でもそちらのほうが恋しい……マトリックスを思い出しましたよ。
赤ちゃんだったサムは193㎝。兄弟並ぶと小さく見えるディーンだって実は186 cmあるんです。頭では納得できても、確かにいろいろ難しいでしょう。(そこじゃないです、わかってます)しかし幻想の自分たちに負けてしまった兄弟の心はいかんばかりか。
「狩りをすればまぎれるかと思ったけど、だめみたい。出ていくわ」と告げるメアリー。
辛そうではあるけれど、母の思いを受け止め、抱きしめるサム。受け止められず、母の顔を見ることも抱きしめることもできないディーン。
「憑依の代償」は母との別離でした。
一度は幸せの高みにいただけに、ディーンの落ち込みは深刻そうです…
逐一感想:天使と悪魔の巻
一方、カスティエルはウィンチェスター家に気を利かせ、一人でバンカーを出て、ルシファーの行方を追っております。仮の姿はFBI捜査官、その名もビヨンセ。
道中、クラウリーが「すごい偶然で」合流し、相棒になりすまします。その名もジェイ・Z捜査官。おい!
凸凹コンビ、ルシファーの器になったロックスターの妹の家をつきとめるも、鼻先で扉を閉められます。そうだよな、おっさん2人からビヨンセとジェイ・Zですって自己紹介されたらみんなそうするだろうよ
…って思ったら、そこは理由じゃなかった(なぜ)
兄のことを聞きにきたかららしい。(それよりもビヨンセとジェイ・Zのほうがアレじゃない?)
悪魔が先に家の中へ入り、天使のためにドアを開けてあげるのがおもしろい。
あれ?天使のパワーで癒されてる
「あれ?」って……かわいい…
妹は立ち歩いて応対しているが、室内に車椅子を見つけて、二人は彼女が最近まで足が不自由だったことを知る。ということは、ルシファーの起こした奇跡だと気が付いた二人。「兄の行方を教えろ。さもないと元の車椅子生活に戻すぞ」と脅すクラウリーをとどめ、カスティエルが今の兄は憑依され、中身は恐ろしい魔物であると説明する。妹は思い当たる節があるようだ。
妹の証言で、ルシファーが山小屋にいる可能性が高いこととロウィーナが一緒だと知る。
山小屋まで追いかける二人。(カスティエルはまだあのトラックを使っているのか…いいかげん、返したれよ…)
そこではロウィーナが優雅にお茶を飲んでいる。
曰く、「ルシファーの器の回復を早めて持久力を増す呪いの代わりに老化と劣化を速める呪いをかけて海底に飛ばした」w
そのとき、「キース・リチャーズが嫌ならイギー・ポップになりなさい!」と叫んでましたが、いろいろ大丈夫なのかしら…お二人とも健在ですよね?
ルシファーも最初から若い器を選べばいいと思うんだが、なかなか合うのが見つからないんでしょうねぇ。スパナチュ界の天使の憑依は相性が悪ければ人間の肉体が破裂しますから…(天使は無問題)
そんなわけで天使と悪魔のルシファー探しはまだ時間がかかりそうです。
兄弟と母と違って、こっちの人たちはとてもライトでよろしいわー
総感
深夜のバンカーの図書室でジョンのジャーナルを読みふけっていたメアリーが、通りがかったカスティエルに気が付いて「眠れないの?」と語りかけるシーン。
いつも起きてる。天使は睡眠をとらない
ここで天使が首をコトンと傾けてね、仕草がかわいいんですよ!かわいい!本当に天使!
じゃなくて、
天使なのに天界を去って地上に降り立ち、どうやってこの世界に馴染んだか。馴染むまでにどれぐらいかかったかという質問に
「完全には馴染んでいない」
と即答して、メアリーには「もともとこっちにいたから馴染める」と言うんですよ。
お互いこの世界では異質の存在であるカスティエルとメアリー。
とはいえ、メアリーは人間。自分はそうではない。どんなに兄弟たちと信頼関係が築かれても、消えない一線があるのだとカスティエルは思っていそうで切ない場面でした。
余談ですが、深夜、眠らないカスティエルはバンカーでなにをしているのかというのがコンで話題になったことがあり、キャストの推測だと、バンカー内をうろうろしているか(実際今回うろうろしてましたね)、兄弟が眠る部屋の前で立って、起きるのを待っているのではないか、ということでした。
直立不動で待機するカスティエル。想像できてしまってさらに切ない……。
自分勝手な見所
天使、大真面目。
その横の悪魔!
あんた分かってやってるだろ!
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