内容
高校生流川×高校生三井→NBA流川×日本プロバスケ選手引退三井
キーパーソン宮城
流川の姉登場
あらすじ
流川は部活日誌をほとんど書き込まない。
見かねた宮城は三井に相談をもちかける。
多くの人が流川を寡黙で筆不精、あるいは何も考えてないやつとみていたが、三井は別の見解を持っていた。
流川はいろいろと感じているし考えてもいるが、言葉や文章にするのが苦手なだけだと思っていたのだ。
三井は流川にバスケの世界でもコミュニケーションは重要だと説き、二人で「交換日記」をしようと提案した。
最初は短い一文さえも書くのに苦労して、姉と相談しながらなんとか日記を返した流川だったが、だんだんと三井とのやりとりを進んでやるようになる。
三井もまた、流川の文章を楽しんでいた。
二人の間には特別な感情が芽生えていく。
三井の卒業前、流川は日記の中で告白する。
三井が好きだ。
でも二人がバスケを続ける以上、三井は日本、流川はアメリカと離れ離れになることは必至。
将来、再会した時に自分の愛へ返事が欲しい。
三井はそれに何も書かず日記を返す。
やがて流川はアメリカのNBAで成功を収め、三井は日本でトッププレイヤーとして名を馳せる。
しかしほどなく三井は怪我で引退を余儀なくされる。
落ち込む三井の元に流川が現れる。
再び会った二人は気持ちを確認しあう。
日記の最後のページに三井は「yes」と返事をしたのだ。
二人はアメリカに渡る。
そして流川が日記を通して身につけたコミュニケーション能力は、三井の怪我を治療するための最先端医療を手に入れる窓口となった。
最終的に二人は幸せな結婚生活に踏み出す。
感想
人は生まれつき得手不得手があるとよく言われます。
しかし、一部の天才をのぞけばそんなことはないんじゃないかと私は考えています。
上達にはどれだけの時間と労力を注いだかということが鍵になってるんじゃないかと。
絵が上手な人は、多くの時間を絵に費やし、バスケがうまい人は長時間練習をしているはずです。
もちろん、桜木のような特別な資質を持った人もいます。
けれど、そんな人はほんの一握りで、大多数の人々は努力と時間を正しい方向に使えば必ず上達すると信じています。
流川の言葉少なさや文章の下手さは、その部分に時間をあまり投じてなかったからだと思います。
姉をはじめとする家族に守られ、感情を言葉にする必要がそんなになかったのではないでしょうか。
ただそれが原因で無感動ぶっきらぼうだと誤解が生まれることも。
その点を憂慮していた流川の姉が、三井が流川を理解していることを日記で知ります。
そして流川が三井への感情を徐々に表現し始める姿に姉は喜び、二人の関係を応援します。
三井の引退試合を見守る姉のシーンは、とても感情移入してしまいました。
本当に、映画のワンシーンのよう。
あらすじにほとんど書きませんでしたが、宮城も重要です。
三井の電撃引退に対して、突然アメリカから帰国し、三井の家へ乱暴に押しかけ、憎まれ口をたたく姿。
とても心配してるのにね!
そして「交換日記」を三井に手渡します。
やっぱり宮城と三井は特別に深い結びつきがあるのだなぁと感じました。
流川と三井の再会シーンは二人の変わらぬ愛情が感動です。
気持ちや感情は、具体的な言葉や行動に変えることで真の力を発揮するんですね。
かつて三井に成長させてもらった流川が、今度は三井を支えるという役割の逆転が心に残りました。
善因善果。
全体的に暖かな優しい雰囲気の小説です。
読み終わった後、とても幸せな気持ちになります!
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