内容
ソータ&三井
あらすじ
宮城リョータの兄、ソータの霊が三井にだけ見える物語。
リョータは生意気で、三井にとって暗い影など感じさせない存在だった。
そんな彼に亡くなった兄がいて、しかもその兄の霊が自分にだけ現れることに三井は当初戸惑う。
しかし、ソータとの交流を通じて、宮城家の悲劇と、飄々としたソータ自身の哀しみや寂しさを知るにつれ、彼との日常を受け入れるようになる。
IH終了後、宮城家の変化を見届けたソータは、ついに「行く」という決意を三井に伝える。
三井は、ソータが旅立つ前に、宮城家と再会させたいと思い立ち、リョータたちがいる砂浜へソータと共に行く。
リョータ、母、妹は三井の話を半信半疑に思う。
だがリョータとソータだけが知っているはずの言葉を三井が口にすると、彼らは信じ始める。
三井は宮城家の一人一人にソータの言葉を伝える。
家族に存在を認めてもらえたソータは最後に家族の前に姿を現し、三井に感謝を述べる。
一陣の風とともにソータの姿は消えていく。
「ソーちゃん、いってらっしゃい」と宮城家三人が暖かい言葉で送り出し、三井は心の中で静かにソータを見送った。
感想
この作品を読み、沖縄の霊媒師ユタの血を引くトクモリザウルスのヤースーさんを思い出しました。
彼の話によると、霊は生前に霊が見えた人以外はお互いを認識できず、生きている人にも気づいてもらえないという孤独な存在です。
だから、「見える人」に出会うと、必死でついていくそうです。
映画では、リョータの兄ソータは小学生にもかかわらず、非常に大人びたキャラクターでした。
しかし、この小説では三井の視点を通して、彼の幼い側面が優しく描かれています。
ソータは、父親の死後、重い責任を背負いながらも、実際はまだ子どもでした。
彼が海に沈んだ時、家族やバスケへの愛と重責からの解放感が交錯していたのかもしれないという三井の推察に同意します。
この物語は、三井を通してソータの子どもらしい側面が受け入れられ、彼が愛する家族と最後に交流できた点で、救いのあるストーリーだと思いました。
もし生まれ変わりがあるなら、ソータがリョータや三井と共にバスケを楽しむ人生を歩めますように。
トクモリザウルスのチャンネル
ヤースーさんの語る霊の話は、いわゆる「怪談」とは違い、「かつては生きていた人」がとる切なかったりおかしかったりする行動がメインです。
ちなみに沖縄出身なので、話し方が宮城家と同じです。
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