内容
高校1年流川×高校3年三井→NBA流川×日本プロバスケ引退三井
R-18描写あり
あらすじ
バスケ部の先輩と後輩だった三井と流川は、ある日のキスをきっかけに肉体関係を持つようになった。
しかし流川は恋愛感情を抱いてるわけではなかった。
セックスをすれば体も頭もすっきりしてバスケにより集中できる。
それが流川の目的だったのだ。
気づいた三井はショックを受けつつも、流川が好きという思いで関係を続ける。
渡米後も流川はセックスを体の調整法として利用していた。
だが3年経って帰国した際、三井と再会して考えを変える。
三井とのセックスが特別だったのだ。
それ以降、オフシーズンごとに日本に帰る流川を三井は受け入れた。
バスケとセックスの相手をしてやり、アスリート食を作り続けた。
二人が出会って10年後、例年通り流川が三井の部屋を訪れると彼の姿は消えていた。
ネット検索で三井の引退を知った流川は三井を探し出す。
三井は新居にしぶしぶ流川を招く。
流川はそこで彼のものではない下着を発見する。
それは最近泊まった三井の職場の先輩のものだったが、流川は三井に恋人ができたと勘違いしてしまう。
ぐずりだす流川に三井は驚きつつも食事を提供する。
以前とは違ってアスリート向けではない食事だったが、流川が礼を言うのにも三井は驚く。
流川はそのまま三井の部屋で過ごす。
セックスもバスケもない日々だったが、それなりに平穏だった。
しかし流川のアメリカへの帰国前日に軽い口論になる。
流川が三井の「恋人」について振れたためだ。
こじれた空気の中、三井は自分たちの関係と感情について語り、流川に対する長年の思いを打ち明けるが、流川の返答は「わからない」というものだった。
三井がいなくなってから、いろんなことがわからなくなったという彼。
「わからなくてきついけど、会えないのはもっときつい。きついし、いやだ。恋人がいるのもいや。同じベッドで寝れないのもいや。全部いや」
流川は「わからないけど、多分、愛してる」と愛を告白。
三井はそれに応えつつも、流川がはっきりと「愛してる」と言えるようになるまで待とうと決意する。
流川が日本を去った後、二人はビデオ通話を続けていた。
通話をするうち、三井に対するあいまいだった気持ちは固まり、1ヶ月で流川は「多分じゃなくて愛してる」告げた。
そして流川はクリスマスゲームを口実に三井をアメリカに招待する。
試合の夜、二人の関係は深まる。
三井は数日間滞在した後、日本へと帰っていったが、流川の目には未来の希望が輝いていた。
流川は過去の日々を思い返す。
三井との初めての出会い、その後の感情の変化。
そして、真の愛情を確信した現在。
流川は確かな思いを胸に、二人のこれからを信じて微笑んだ。
感想
クールでかっこいい流川君。
簡潔な言葉と冷静な態度は、多くの経験を経て身につけられたものであれば魅力的です。
でもそれが未経験のためや言語化能力のなさ、自分の感情への気づきの欠如から来るものだとしたら。
「セックスをすれば頭も体も調子もいい」と思い込んだ流川が、「あ、違った。先輩とセックスすると調子がよくなるんだ」と感じ、最終的に、「先輩のことが好きだから、セックスすると調子がよくなるんだ!」と気づきます。
読みながら流川と一緒に、彼の本当の感情や欲求を徐々に知ることになります。
そして流川が自分の気持ちを理解し、表現していく様子……これはいわば「流川君の成長物語」です。
対する三井は自分の感情を把握し、そのうえで流川の考えや行動を尊重していて、成熟しているように思えます。
けれど、アスリート向けではない食事を出したら流川が礼を言って完食したことに驚いた記述があり、彼の中にも勝手な思い込みがあったことが伺えます。
期待と現実にギャップがあったんですね。
それにしても合鍵を拒否られた衝撃はいかんばかりか。
はっきりしない関係に甘んじる不安や葛藤は想像するだに苦しくて。
流川の幼い言動ははた目に微笑ましいですが、三井じゃなきゃストレスで壊れてますよ。
流川の「多分」を許さず、「俺はもう、俺のことを愛してるやつとしかセックスしたくねぇの」って言いきったのは喝采しましたし、最後、ハッピーエンドで本当によかったと思いました。
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